食育

安部司氏とミートボール事件

はじめに

安部司(あべ つかさ)氏は、1951年に福岡県福岡市の農家に生まれました。
山口大学文理学部化学科を卒業後、食品添加物を製造・販売する企業に就職し、
営業職として全国を飛び回り、数千種類におよぶ添加物を駆使して
「安くて美味しくて売れる商品」を開発するプロフェッショナルでした。

現在は「食品添加物の伝道師」とも呼ばれる、食の安全啓発活動家です。
食品添加物の現状を伝える講演活動も積極的に行い、
消費者に対して食の安全性についての意識向上を図っています。

2018年には一般社団法人加工食品診断士協会を設立し、
代表理事として活動しています。

この活動のキッカケになったのが「ミートボール事件」です。

私も、加工食品診断士になる際に、実際に安部司師匠から話を聞き、
考えさせられました。

ミートボール事件が伝えるメッセージ:
・安さや便利さの裏に何があるかを知ってほしい
・子どもたちに食べさせたくないものは、自分自身も口にすべきではない
という、非常にシンプルで本質的な問いかけです。


◆ 「ミートボール事件」の詳細

これは彼の人生を大きく変えるきっかけとなった、
非常に象徴的なエピソードです。

● 背景

安部氏が勤務していた当時、添加物の使用は日常的であり、
「本物を使わなくても、見た目・味・香りをそれらしくすれば売れる」という考えのもと、
様々な“偽”食品を開発していました。

例えばミートボールに使われていた肉は、以下のようなものでした:
・本来廃棄されるはずのクズ肉(皮、筋、血合いなど)
・それに、30種類以上の添加物(発色剤、結着剤、増量剤、香料、甘味料など)を混ぜて製品化

● 出来事

ある日、長女の3歳の誕生日に、妻が買ってきたスーパーのお惣菜として、
彼自身がかつて開発に関与したミートボールが食卓に並びました。

娘が「おいしい」と無邪気に食べている姿を見て、
安部氏は頭を殴られたような衝撃を受けました。

「これは、自分が売っていた“毒のかたまり”ではないか。これを、愛する我が子に食べさせていいのか?」

● その後

翌日、安部氏は仕事を辞める決意をし、会社を退職。
食品業界から足を洗いました。

この“ミートボール事件”は、安部氏の中で「加害者から被害者の父親に変わる」
強烈なターニングポイントとなったのです。


🌱最後に

加工食品診断士協会の協会理念

守るべきは、⼦ども達の健康・味覚・価値観
家族の絆、そして⽇本の⾷⽂化

加⼯⾷品診断⼠協会は、⼦ども達の健康・味覚・価値観を守り、
家族の絆を守り、⽇本の⾷⽂化を守るため、⽣活者と⽣産者双⽅に対し、
加⼯⾷品・添加物に関する正しい知識を普及してまいります。
また、「⾷」に関する鋭い判断基準とぶれない選択眼をもつ
⽣活者・⽣産者を育成・⽀援する活動を通して、
健全な⾷品業界の発展に寄与し、「⾷」を起点として
豊かな社会を育むことを⽬指します。

給食無償化

近年、子育て支援や経済的負担の軽減を目的として、
全国の自治体で小中学校の給食費無償化が進められています。

​一部の自治体では、食の安全や地域の農業支援の観点から、
有機食材や無農薬野菜の導入を進めています。
しかし、コスト面や供給面の問題で難しいでしょう。
財源に限りがあるので、安くて便利なものが使われる事でしょう。

そこで大事になるのが、「食」の知識です。
生きていく上で大切な事はたくさんあると思います。
それを、学校(義務教育)では教えてくれません。

「知らずに食べることが危険」です。
「選ぶ力」を持ってほしいものです。

興味がある方は、「食」のスペシャリスト
に問い合わせください。

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